食品業界におけるDXとは? 2024年4月30日コラム 様々な業界でDXが進められていますが、食品業界においても同様でDX化を進める企業が増えてきています。その範囲も工場全体の生産整備や在庫管理、品質管理と幅広く、生産性の向上を図っています。 本記事では、食品業界の現状と課題、DXについて解説していきます。 Contents1. 食品業界の現状と課題2. DX(デジタルトランスフォーメーション)とは3. DX、デジタル化の違いとは?4. スマートファクトリーとは?5. まとめ 食品業界の現状と課題 近年、食品業界の人手不足・人材不足が深刻化しており、生産性の向上が急務になっています。しかしながら、数あるソリューションの中から生産性を向上させる取り組みを見つけ出すのは非常に難しい状況です。 このような状況を踏まえ、農林水産省は、ロボット、AI(人工知能)、IoT(Internet of Things)等の先端技術の導入支援や、その技術の橋渡し役となるシステムインテグレーター(SIer)との接点づくりの促進を図ることにより、食品産業におけるイノベーションを創出し、食品産業の生産性向上を推進しています。 【参考】農林水産省「食品製造業等の生産性向上」https://www.maff.go.jp/j/shokusan/sanki/soumu/seisansei.html IoT(Internet of Things):モノがインターネットに繋がる仕組みのこと。 システムインテグレーター(SIer):顧客の情報システムの企画、構築、運用などの業務を一括して請け負う情報通信企業のこと。 DX(デジタルトランスフォーメーション)とは DXとは、デジタル技術を活用して生活やビジネスを変革することです。経済産業省が2018年に発表した「DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~(以下、DXレポート)」をきっかけにDXという言葉を知った方も多いのではないでしょうか。 経済産業省はDXの定義を「企業がビジネス環境の激しい変化に対応し、データとデジタル技術を活用して、顧客や社会のニーズを基に、製品やサービス、ビジネスモデルを変革するとともに、業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立すること」としています。 DXレポートでは、多くの経営者がDXの必要性を理解しているも、既存システムが事業部門ごとに構築され、全社横断的なデータ活用ができないケースや、システムのカスタマイズで複雑化・ブラックボックス化しているケースが多いということが述べられています。 そして、これらの既存システムの問題を解決するためには、業務自体の見直しが求められ、現場サイドの抵抗が大きいことが課題となっていることも述べられています。この課題を解決できない場合、2025年以降、最大12兆円/年(現在の約3倍)の経済損失が生じる可能性があると言われており、これが「2025年の崖」です。 【参考】DXレポート ~ITシステム「2025年の崖」克服とDXの本格的な展開~https://www.meti.go.jp/shingikai/mono_info_service/digital_transformation/20180907_report.html DX、デジタル化の違いとは? DXは先ほども述べたように、デジタル技術を活用して生活やビジネスを変革することです。一方デジタル化は、アナログなものをデジタルな形に変えるプロセスで、情報やプロセスをコンピューターやデジタル技術を使って取り扱うことを指します。 例えば、紙の文書をスキャンし、電子保存したり、これまで電話対応だったカスターサービスをチャットボットやWEBからの問い合わせに変更したりすることを指します。 簡単に言えば、デジタル化は情報をデジタルで取り扱うことを指し、DXはデジタル化を手段としてビジネスを変革していくことを指します。 では、食品業界におけるデジタル化はどういったことを指すのでしょうか。例としては、紙で管理していた原料情報や商品規格書をデータ化したり、これまでエクセルで管理していた在庫情報をシステム化したりすることなどが挙げられます。 そしてDX化となれば、デジタル化で一元化されたデータを活用し、商品開発の効率化を行い新商品の開発スピードを早めたり、省力化、自動化を進めることで、人手不足解消に繋げたりすることなどが挙げられます。 スマートファクトリーとは? 食品業界のDX化としてスマートファクトリーという言葉を耳にする機会が多くなりました。スマートファクトリーとは、IoTやAI、デジタル技術等を活用し、作業効率化や生産性の向上が実現された工場のことです。 2017年には、経済産業省が「スマートファクトリーロードマップ」を発表し「20~30年後のものづくりの未来の姿に向けて、製造現場のデジタル化・ソフトウェア化への対応など7つの戦略課題に対応することが求められる」と述べています。 具体的な食品業界におけるスマートファクトリーの例としては、人手を要する作業をAIやロボットで自動化したり、製造ラインの設備状況をリアルタイムに可視化したり、ネットワーク化し、工場全体の情報を収集・分析できるようにしたりすることが挙げられます。 【参考】スマートファクトリーロードマップhttps://www.chubu.meti.go.jp/b21jisedai/report/smart_factory_roadmap/ まとめ 農林水産省が2017年に発表した「食品製造業をめぐる情勢」では、日本の⾷品製造業は、中⼩企業及び零細企業が99%を占めていると述べられています。今後も食品業界のDXは進んでいくことが予想されますが、中小企業及び零細企業の多い食品業界において、いきなり大規模な取り組みを進めるのは難しいでしょう。 そのため、まずは身近な業務のデジタル化や効率化、業務自体の見直しなどから取り組むことをおすすめします。DXに取り組むことは、業務効率化などに繋がるだけではなく、企業そのものの価値を上げることに繋がるでしょう。 【参考】食品製造業をめぐる情勢https://www.maff.go.jp/j/shokusan/seizo/attach/pdf/vision_documents-2.pdf