トレパス現場通信|「TOREPAS FAIR2026」開催レポート 2026年3月25日コラム2026年2月20日、食品メーカーの品質管理・食品表示業務に携わる皆さまを対象に、オンラインセミナー「TOREPAS FAIR2026」を開催しました。 本セミナーでは、一般社団法人Food Communication Compass 代表 森田満樹さまをお迎えし、食品表示制度のこれまでの改正の流れや最新動向、今後想定される改正事項など、今後の食品表示に関する検討ポイントについて解説いただきました。 あわせて、品質情報管理サービス「TOREPAS」「TOREPAS BANK+」をはじめ、RPAやAIを活用した業務効率化・自動化の取り組みをご紹介。食品表示・品質管理業務を起点とした全社的なDX推進の可能性についてもお伝えしました。 本コラムでは、当日の内容を振り返りながら、参加できなかった方にも実務のヒントとなるポイントをレポートします。 Contents1. なぜ今、食品業界のデジタル化が進んでいるのか2. 基調講演 「今後の食品表示に関するさまざまな検討~デジタルツール活用を中心に~」3. 「食品DXに使える品質情報管理サービスTOREPASの新サービス紹介~今後のロードマップ~」4. 当日の質疑から見えた現場のリアルな課題5. まとめ なぜ今、食品業界のデジタル化が進んでいるのか 食品業界では近年、デジタル化への取り組みが加速しています。背景のひとつにあるのが、相次ぐ制度改正や社会環境の変化です。食品表示法の施行以降、アレルギー表示の改正や個別品目ごとの表示ルールの改正など、食品表示は継続的にアップデートされています。 実際、業界全体の約7割が何らかのIT化・効率化に着手しているといわれています。一方で、本格的なDXにまで踏み込めている企業はまだ一部にとどまります。デジタル化は、単なる業務効率化ではなく、データを活用した経営基盤の構築へと段階が進みつつあります。 今回のセミナーは、こうした業界背景を踏まえ、制度対応とデジタル化をどのように結びつけていくべきかを考える場として企画しました。 基調講演 「今後の食品表示に関するさまざまな検討~デジタルツール活用を中心に~」 基調講演では、食品表示・消費者行政分野の専門家である森田満樹さま(一般社団法人Food Communication Compass 代表) をお迎えし、近年の食品表示を取り巻く動向と、今後想定される改正の方向性について解説いただきました。 講演ではまず、食品表示の基準改正や栄養表示、食品期限表示設定のためのガイドラインについて、最新情報(2026年2月17日現在)をもとに整理が行われました。 これから4~5年の間は、経過措置期間が異なる改正やガイドラインが施行されるため、事業者にとって注意が必要となる点についても説明がありました。 講演では、上記資料で赤字となっている「アレルギー表示(カシューナッツ義務、ピスタチオ推奨追加で29品目)」「旧食品衛生法由来の個別品目ごとの表示改正」「個別品目ごとの表示改正(令和7年度22品目)」「包装前面栄養表示(FOPNL)」「デジタルツールの活用(ガイドライン策定予定)」を中心にお話しいただきました。 本コラムでは、その中の一部を抜粋してご紹介します。 より詳しく知りたい方は、下部より資料ダウンロードをお申し込みください。 アレルギー表示(カシューナッツ義務、ピスタチオ推奨追加で29品目) 2026年4月1日施行で、カシューナッツの義務表示の追加、ピスタチオの推奨表示追加が決定しています。近年は特に木の実類の追加が続いており、症例数の増加や、食べる機会・頻度が増えていることなどが背景にあるとされています。今後も木の実類は推奨表示の対象品目に追加される可能性があることにも触れられました。 今回の改正により、アレルギー表示の対象は義務表示9品目、推奨表示20品目の合計29品目となります。 個別品目ごとの表示ルールの見直しについて 2024年から2025年にかけて、「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」が計16回開催され、食品ごとに定められていた表示ルールの整理が進められました。今回の見直しでは、食品ごとに設けられていた個別ルールを整理し、横断的な表示基準に合わせる方向で制度改正が進められています。具体的には、別表をシンプルに整理し、個別品目ごとの表示ルールを横断表示に寄せていく方針です。 令和6年度分では、20品目を対象とした食品表示基準の改正がすでに実施されており、令和7年度分では、22品目の施行が予定されています。 デジタルツールの活用(ガイドライン策定の予定) 消費者庁では、2024年度および2025年度に「食品表示へのデジタルツール活用検討分科会」を開催し、課題整理を行いました。その結果は2025年12月に取りまとめとして公表されています。 ▼ 食品表示へのデジタルツール活用検討分科会取りまとめ https://www.caa.go.jp/policies/policy/food_labeling/meeting_materials/review_meeting_014/assets/food_labeling_cms201_251203_01.pdf 食品表示にデジタルツールが活用された場合、消費者にとっては表示情報が見やすくなる可能性があり、事業者にとっても包材表示に縛られない原料調達が可能になるなどのメリットがあります。 一方で、消費者が表示情報を確認するためにスマートフォンを商品にかざす必要があるなど、情報取得の手間が増える可能性や、事業者側ではデジタル表示のための管理費用などコストが増えるといった課題も指摘されています。 こうした点を踏まえ、デジタルツールを活用した表示の導入は事業者の任意とするという整理がなされています。 今後は、食品表示懇談会において「どの情報を容器包装に残すのか」といった検討が進められ、その後、消費者庁によるガイドライン策定が予定されていることも紹介されました。 「食品DXに使える品質情報管理サービスTOREPASの新サービス紹介~今後のロードマップ~」 続いて、品質情報管理サービス「TOREPAS」「TOREPAS BANK+」の新サービスおよび今後のロードマップをご紹介しました。 2006年のリリース以降、TOREPASは食品表示作成機能の強化を軸に、原料DB・配合DB・商品DBの整備、外部連携機能の拡充などを重ね、品質保証・研究開発部門の業務を支援してきました。近年では、原料規格書回収サービス「TOREPAS BANK+」やRPAとの連携など、周辺業務まで含めた効率化を進めています。 今回の発表で特にお伝えしたのは、TOREPASを“食品DXの基盤”へと進化させていく構想です。 AIを活用したチェック機能の開発 現在開発を進めているのが、原材料表示文のAIチェック機能です。 TOREPASでは、原料規格書のデータをもとに配合DBでレシピを登録し、原材料表示文を積み上げ形式で作成する機能を備えています。従来は、作成した表示文に対する自動チェック機能はなく、最終確認を人の目で行う運用となっていました。 開発中の機能では、TOREPASで作成した原材料表示文データを生成AIで解析し、食品表示法に沿った表示内容となっているかをチェックできる仕組みを構想しています。あくまで「最終判断は人が行う」設計としつつ、確認作業の負担軽減と精度向上を目指します。 また、包材メーカーから戻ってくる版下データ(PDF)とシステム上のデータを比較するAIチェック機能についても紹介しました。これまで目視で行っていた差分確認を支援することで、表示上の誤り防止や確認精度の向上につなげていきます。 開発スケジュール全体を管理 もう一つの大きなテーマが、商品管理機能の拡張です。 商品開発は、企画・試作・品質検査・製品化・販売・終売といった複数のフェーズを経て進みます。しかし現場では、Excel管理や部門ごとの分断により、情報が点在しがちです。 今後は、TOREPAS上で対応範囲を広げ、開発スケジュールの可視化や承認状況、期限管理、関連資料の一元管理ができる仕組みを構想しています。品質情報管理にとどまらず、商品ライフサイクル全体を支える基盤へと進化させていきます。 RPA×AIによる周辺業務の効率化 さらに、食品表示関連の法令情報チェック業務などに対し、RPAとAIを組み合わせた自動化の取り組みも紹介しました。 定期巡回や差分確認、要約、台帳更新といった定型業務の効率化を図り、最終確認は人が担うという役割分担を前提とした取り組みです。こうした周辺業務の効率化も含め、TOREPASを中心としたDX推進を見据えた取り組みを進めています。 当日の質疑から見えた現場のリアルな課題 質疑応答では、制度改正や制度見直しが進む中で、実務に直結する質問が数多く寄せられました。 特に多かったのが、「何を変更すべきか」「いつからどのように対応すべきか」といった、制度の“解釈と判断”に関する悩みです。質疑応答のやり取りからは、制度内容の理解だけでなく、実務に落とし込む際の判断の難しさが共有されている様子がうかがえました。 まとめ 食品の表示制度は、段階的な見直しが続いています。アレルギー表示の改正や関連ガイドラインの整備など、食品事業者が対応すべき内容は年々増えており、実務はより複雑になっています。 表示業務は単なる事務作業ではなく、企業の信頼性やブランド価値を支える重要な基盤業務です。その一方で、情報収集や確認作業、差分チェックなど、多くの業務が人の経験や注意力に依存しているのも現状です。 制度改正が続く今だからこそ、「情報管理の仕組みは十分か」「更新時の確認体制は整っているか」「業務が属人化していないか」を改めて見直すことが求められています。 今回ご紹介した品質情報管理サービス「TOREPAS」は、食品表示・品質情報管理業務を“仕組み化”し、継続的な制度対応を支える基盤として進化を続けています。AIチェック機能や開発スケジュール管理など、今後のロードマップを含め、食品DXを支える取り組みを拡張していく予定です。 サービスの詳細や最新情報については、以下よりご覧いただけます。 https://www.tsh-world.co.jp/torepas/ また、本セミナーで使用した講演資料をご希望の方は、下記フォームよりお申込みいただけます。 (※同業他社様からのお申し込みはお断りさせていただく場合がございます。) セミナー資料お申込みはこちら 執筆:TOREPAS コラム担当(東京システムハウス株式会社)