原材料管理システムの重要性と導入手順とは 2023年12月8日コラム 原材料は製品の品質や安全性に直結する重要な要素であり、適切な管理が求められます。原材料管理システムの導入により、品質管理の向上、リスクの軽減などのメリットが得られます。 この記事では、原材料管理システムの重要性とシステムの導入手順について詳しくご紹介します。 Contents1. 原材料管理システムとは?2. 食品メーカーにおける原材料管理の主な機能2.1. 原料や配合、商品情報のデータベース化2.2. 登録情報の検索2.3. 原材料表示の作成2.4. 栄養成分の計算3. システムの種類3.1. パッケージソフトのメリット・デメリット3.2. スクラッチ開発のメリット・デメリット4. 原材料管理システムの導入手順4.1. 自社の課題・問題点を洗い出す4.2. 情報収集4.3. 導入計画の策定4.4. システムの導入と設定5. まとめ 原材料管理システムとは? 原材料管理システムは、製造業において品質管理や生産効率の向上を図るためのソリューションです。原材料の情報等をデータベース化することにより原料・配合・商品を統合的に管理します。適切な原材料の管理は、製品の品質や安全性に直結しており、企業の信頼性や競争力を高める上でも重要です。適切なシステムの選定と導入により、効率化や品質向上、リスク軽減などのメリットを最大限に享受することができます。 食品メーカーにおける原材料管理の主な機能 原材料管理システムは、主に「原料や配合、商品情報のデータベース化(商品情報の紐づけ)」「登録情報の検索」「原材料表示の作成」「栄養成分の計算」などの機能があります。 原料や配合、商品情報のデータベース化 各製品の原料や配合表などをデータで一元管理できる機能です。(商品情報のシステムと連携するシステムもあります)データベース化することで試作品の配合データの作成や取引先ごとの商品規格書の作成、ラベルデータの作成など、管理が効率的に行えます。また、データベース化することで、購買部や品質保証部、工場など会社全体でデータを共有することが可能となります。 登録情報の検索 データ化された情報を検索できる機能です。例えば、原料に変更があった際に該当する原料が使用されている商品を検索できることで、スムーズな情報管理を実現できます。また、過去の履歴や新旧のデータ相違箇所の比較もできるため、いつでも最新な登録情報を検索することが可能です。 原材料表示の作成 配合情報と原料情報データベースを元に、原材料表示の作成を行うことができる機能です。データを連携し、ラベル印刷までできるシステムもあります。 栄養成分の計算 データベースを元に栄養成分計算ができる機能です。原料規格書の規格値を基に商品の栄養成分値を計算して自動算出でき、100g当り、1個重量当たりなど、ラベルで使用する内容で自動算出できるシステムもあります。 システムの種類 システムは、大きく「パッケージソフト」と「スクラッチ開発」に分けられます。一般的にパッケージソフトとは、既製品ソフトのことです。製品によっては一部をカスタイマイズすることもできますが、多くはカスタマイズできないことが多く、あらかじめ搭載されている機能しか使用できないケースが多いです。スクラッチ開発は、ひな形となるパッケージ等を使用せず、1から自社オリジナルのシステムを開発することです。 パッケージソフトのメリット・デメリット パッケージソフトは、既製ソフトのため、コストを抑えて導入できる点は大きなメリットです。また、システム導入における手間も省けるため、短期間での導入ができます。デメリットは、パッケージ化されているため、自社ならではのカスタイマイズ等が難しい点です。「どうしても●●をしたい」ということがある場合は、自社オリジナルで開発するスクラッチ開発が望ましいでしょう。 スクラッチ開発のメリット・デメリット スクラッチ開発のメリットは、自社オリジナルのシステムとなるので、既存のシステムにはない機能を実装できる点です。デメリットは、コストと時間がかかってしまうということです。予算やスピード感を重視している場合は、パッケージソフトで検討しましょう。 原材料管理システムの導入手順 システム導入を進める際、「コスト面の不安」や「導入効果への不安」、「従業員がシステムを使いこなせるか不安」といった課題を抱えるケースが多いです。システム導入する前に、自社の課題や問題点を整理したうえで、導入を検討しましょう。 自社の課題・問題点を洗い出す まずは、自社でどのような課題・問題を抱えているのか洗い出しましょう。なぜシステム導入したいのか、何を解決したいのか、明確にしておく必要があります。システム導入における失敗としてよくあるのが、自社の課題を整理しないまま導入したため、後から追加でほしい機能等が発生し、コストがかさんでしまうことです。社内の課題を整理しておければ、システム化でどう改善できるのか、導入前にある程度イメージすることができます。 情報収集 自社での課題が明確になれば、次はその課題を解決できるソリューションを探します。製品によって機能やコスト、仕様などが大きくかわるため、十分な比較検討が必要です。まず、複数の企業に提案やデモをしてもらい、自社の課題を解決できる製品を決めましょう。この時、アフターフォローなども忘れずに比較検討するようにしましょう。 導入計画の策定 システム導入のスケジュールや予算、関係者の役割などを含む導入計画を策定します。 システムの導入と設定 選定した原材料管理システムを導入し、必要な設定やカスタマイズを行います。システムが問題なく稼働した後は、利用するユーザーに対してトレーニングを行い、利用方法を習得してもらいます。 まとめ 原材料管理システムの導入は、品質管理、生産効率、リスク管理の面で企業に多くのメリットをもたらします。品質管理の効率化により、製品の品質を確保することができます。また、生産効率の向上やリスク軽減により、企業の競争力を高めることができます。 原材料管理システムの導入には、要件の明確化から適切なシステムの選定、導入計画の策定、ユーザー教育とトレーニングまでのプロセス整理が重要です。「システム導入で何を解決したいのか」「自社における課題はなんなのか」社内で整理をしてから、システム導入を進めましょう。