CASES石屋製菓株式会社様

石屋製菓株式会社様
石屋製菓株式会社様は、北海道札幌市に本社を構える1947年創業の老舗製菓会社様です。創業以来、北海道生まれのお菓子メーカーとして、雄大な北海道の魅力を伝える製品づくりを続け、「白い恋人」、「美冬」、「TSUMUGI(つむぎ)」など数々の大人気製品を製造・販売しています。2003年には「観て・知って・味わって・体験できるチョコレートエンターテインメント施設」として「白い恋人パーク」をオープン。2017年には道外初の直営店「ISHIYA GINZA」を銀座にオープンさせました。また、国際的な規格である食品安全マネジメントシステム「FSSC 22000」に基づき原材料から消費までのフードチェーンにおける食品安全への取り組みを推進し、2017年1月の本社管理部門及び宮の沢工場(認証範囲)に次いで、2020年1月には北広島工場で「FSSC 22000」の認証を取得しました。会社の拡大に合わせて食品表示業務もレベルアップしていく必要があった同社。TOREPASを導入した背景や活用方法、効果などを品質管理部 ゼネラルマネージャー 鴫原氏、品質管理部 マネージャー 庄野氏、品質管理部のメンバーに伺いました。
白い恋人
美冬(みふゆ)
・原料情報の最新データ管理・調査
・業務の属人化
・データ一元化による検索時間の短縮
・表示作成業務の時間短縮、精度向上
・業務の属人化解消

導入前の課題を教えていただけますか?

原材料情報を作成している際、その当時のやり方では間違いが発生するリスクが高いこと、作成や確認に掛かる時間、人員への負担が大きくなることが課題でした。「原料管理」「配合管理」「表示作成」それぞれにおいても、下記のような課題がありました。

 

【原料管理における課題】

■ 原料規格書記入依頼の難航
TOREPAS導入前は、原料規格書の依頼・回収をメールや電話で行っていたため、時間と労力がかかっていました。依頼から回収まで平均2週間ほど、遅いところはそれ以上の期間を要していました。また、原料規格書の依頼・回収のフローや回収後の社内チェック、社内承認後のワークフローなど、社内の運用ルールの見直しが必要でした。

■ 原料規格書の散在
これまでロジスティクス部 購買チームが原料メーカーに原料規格書の記入依頼をし、回収した規格書の管理を品質管理部がおこなっていましたが、規格書を使用する部署がそれぞれコピーしたものを保管していたため、データの一元化の取り組みはまさに急務の課題でした。規格書が散在していることで原料情報が更新された際の管理も煩雑になっていました。

■ 原料情報調査が高い負荷に
規格書を紙で管理していたため、社内・社外からの問合せ対応時に1つ1つファイルを開いて調べる必要があり、原料情報の調査が高い負荷になっていました。

 

【配合管理における課題】

■ 配合表書式が統一されていない
例えば、仕掛品が複数できる場合など入力が複雑なものになると担当者ごとに入力方法が異なり、表示作成時に精査や確認作業が発生していました。

 

【表示における課題】

■ 業務の属人化
原材料表示情報の作成は、配合表と原料規格書情報をExcelに転記し、作成していたため時間と手間がかかっていました。しかもいままでの原料管理、配合管理と異なり最終の表示は作成できる人も限られているため、属人的になってしまうことが最大のリスクでした。

■ 誤表示リスク+チェック作業が高い負荷に
原料や半製品の情報更新時に再計算の負荷が大きくなっていることも課題でした。データベース化されていないと確認・調査にどうしても時間がかかってしまうのでマンパワーでの確認作業が高い負荷となってしまいます。都度の手計算は業務負担も高く、担当者育成でも指導しにくい部分です。日々の業務に忙殺された結果、新たな業務に取り組む余裕がないという悪循環になっていました。

TOREPAS導入により達成したい目標はなんでしたか。

大きく2つの目標がありました。

1. 情報の一元化による管理/検索時間の短縮

原料規格書を紙で管理していたため、情報管理という部分は大きな課題となっていました。そのため新システムでは、最新の正しい情報を1箇所に集めることで効率化を図りたいと考えていました。

 

2. 表示作成業務時間の短縮及び精度向上

表示作成時間の短縮や精度の向上は絶対条件でした。TOREPASの表示文作成機能を活用することで業務負荷軽減と誤表示リスク削減に繋げたいと考えていました。

現在TOREPASをどのように活用していますか?

2016年からTOREPASでは、原料情報・配合情報・商品情報の最新管理を行い、TOREPAS BANKを使って原料規格書の依頼・回収の承認フローを統一して運用しています。また最新情報がTOREPASにあるので原材料表示作成まで活用しています。現在、TOREPASBANKにて約1,000種類以上の原料情報を管理しています。原料メーカーにはTOREPASBANKから原料規格書を提出してもらい、回収の効率化と入力精度の向上を図っています。収集したデータは、TOREPASに情報連携され、原料情報・配合情報・表示情報などの商品に関わる情報を一元管理しています。

 

具体的には2016~2019年で社内運用ルールの検討、体制、役割決定、原料規格書フォーマット見直しに注力し、2020年頃からTOREPAS BANKとTOREPASを活用した最新原料データの管理を行うようになりました。また、同時期にTOREPASで表示を作成するようになり、効率化できた時間で商品データの最新管理を強化していきました。2021年頃から、ラベル発行機能のオプションを導入し、製造部門で作成している表示ラベルシール作成をTOREPASとシステム連携することで業務効率化を図ることができました。

TOREPAS導入を決めた理由を教えていただけますか。

導入に向けてTOREPAS以外にも、複数のシステムの中から検討し、それぞれデモ環境を構築し、作業の評価をしました。その際、複数のシステムの中でもっとも弊社担当者がスムーズに表示作成ができたのがTOREPASでした。また、TOREPASサポート担当者の対応が良かったことや導入後のサポート体制が手厚いことも決め手となりました。あとは、同業種での導入実績が高かったことも安心感に繋がりました。

導入後の効果について教えていただけますか。

「原料管理」「配合管理」「表示作成」それぞれの工程で多くの効果がありました。

【原料管理における効果】

■ 原料情報の一元管理
原料情報は、TOREPAS BANKにて最新ドキュメントを一元化することができています。2016年導入当初は、運用体制・社内ルールをまとめるのに苦労しましたが、現在は決まったルールで運用できています。最新版の管理が社内で統一されているため、情報が散在することがなくなりました。また、社内で活用している別システムの管理コードもTOREPAS BANK上で併せて承認させているので、承認フローが明確になり運用もしやすくなりました。

■ 原料情報調査の短縮
TOREPASに搭載されている検索機能を使うことで原料情報の調査がとても楽になりました。お客様からの原材料に関する問い合わせはもちろんですが、例えば、販売中の商品データをリニューアルするときに、A原料をB原料に差し替えするとします。今までであれば手作業で1つ1つファイルを確認していましたが、現在はTOREPASにデータが登録されているので、A原料を使用している商品をすぐに一覧で抽出することができます。また、原料に変更があったときも新旧の比較がしやすいです。

 

【配合管理・表示における効果】

■ 配合表示の統一化が簡単に
TOREPASに入力することで配合表書式の統一化が図れました。また、導入前のExcelで作成していたときは、表示名を統一させるために同じ原料を手作業で探して表示を統一させる作業が発生していました。今はそういった作業が一切なくなり、TOREPAS BANKに原料登録するとTOREPASで自動的に配合情報を含んだ表示が作成されるようになりました。

■ 表示業務の属人化解消
原材料表示文の作成ができる「表示文作成機能」を活用することで、表示作成手順の統一化を図ることができ、属人化解消に繋がりました。また、マンパワーで行っていたチェック作業も解消され、別の作業や確認に時間を使えるようになりました。

■ 表示データ以外の商品管理も可能に
今まで手作業で社内帳票を作成していましたが、TOREPASに商品登録することで、簡単に必要な情報が出力できるようになりました。また、商品に関する情報が全て一元管理されたことで、社内帳票に掲載していた項目の見直しも行いました。昨年度より、品質標準書として項目を倍以上に増やし、商品規格の情報を充実させることができました。

■ ラベル発行機能で製造部門側も効率化に
これまで品質管理部が表示書類を準備し、製造部門がラベルデータの作成をしていたのですが、ひとつの商品データを登録するのに数日かかるため、ラベル発行までに時間と手間がかかっていました。現在は、TOREPASでの商品管理の運用にあわせて、ラベル発行機能を利用し、製造部門にラベルデータをCSV連携するだけでラベルが発行できています。最初はラベルデータの登録やラベル発行テストなどで苦労しましたが、製造部門側の業務効率にも繋がっているので取り組んで良かったと感じています。

今後はどのような活用計画をお考えですか。

外部提出資料をTOREPASから作成したいと考えています。別システムとの連携も視野に入れ、TOREPASの商品情報を外部システムに取り込めるようにデータ変換する機能「外部システム連携機能オプション」の導入を検討しています。併せて、データベース管理をクラウド化させ、外部からの接続や操作・閲覧できるアカウントを増やし、使用範囲の拡大も図りたいです。これらの活用が実現すれば、業務効率化が更に加速すると期待しています。

―本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。