Customer Success株式会社 北陸電機商会 様

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東芝製フレームワーク「TPcare」サービス終了で、ストレート移行を決断。画面と入力操作の再現力、オフコンCOBOL資産の移行力で選ばれたMMS/AJTOOL活用ソリューション。

70年超の歴史を誇る日本海側最大の電材商社として、顧客企業から高い信頼を獲得している株式会社 北陸電機商会。同社には、電材業界の慣習に対応して自社開発した「Hokurikudenkishokai Online Totalシステム(以下HOTシステム)」と呼ばれる総合オンラインシステムがあります。これまで、COBOLベースのオフコン資産をオープン環境で動かす東芝製フレームワークTPcareを利用して運用してきましたが、このフレームワークがサービス終了することになりました。

業務の流れが変わることを回避したかった同社は、COBOL to COBOLのストレート移行を決断。その手法として、東京システムハウスのMMS/AJTOOL活用ソリューションを選択しました。その理由は、画面や入力操作の再現力、オフコン型COBOLならではの業務処理と画面のI/O連動を変えることなく移行できる点にありました。

2022年7月、新システムは無事本番稼働を果たし、システムパフォーマンスの大幅向上と周辺システムとの連携性・柔軟性アップという大きな効果を享受しています。

(取材:2023年5月)

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70年超の歴史を誇る日本海側最大の電材商社

1946年の創業以来、株式会社 北陸電機商会は常に顧客の視点に立ってベストな選択を模索し続けてきた電気機器・電設資材の総合商社です。独立系ならではの強みを生かして多種多様なメーカー製品を取り扱い、提案・販売・配送・設置までを一貫してサポート。日本海側最大の電材商社として、北陸3県および新潟、岐阜に合計11の事業所ネットワークを構築。全事業所間でリアルタイムに情報共有しながら、顧客に対応しています。

地元である北陸の地で、時代の変化に合わせ柔軟な思考でニーズに応えるために、常に新たな製品やシステムを積極的にラインアップ。また「考える営業」をキーワードに、より一層のお客様満足を追求し、実現するのが同社の未来にわたっての使命。半世紀以上にわたる歩みのなかで培った商品知識と技術ノウハウ、そして物流ネットワークを原動力に、同社は地域産業界の発展に惜しみなく力を注いでいます。

 

 

オフコン資産をオープン環境で動かすTPcareがサービス終了に

同社には、「HOTシステム」と呼ばれる基幹業務システムがあります。電材業界の慣習に対応して自社開発した総合オンラインシステムです。当初は東芝製オフィスコンピュータ(以下、オフコン)を採用、1985年の第1次開発以来、資産を着実に継承してきました。2000年にオフコン資産を継続利用できる東芝製フレームワークTPcareを導入して、オープン環境に移行。これまでに蓄積された資産数は、図1のとおりです。

 

図1 Hokurikudenkishokai Online Total システム資産数

分類 資産 数量 備考
プログラム COBOL 2,800本
コピー句 200本
データ RDB 60本 Oracle1(Pro*COBOL)
索引ファイル 200本
バッチ JCL 2,000本 PG 起動が多数
画面定義 FORMAL 700本
帳票 230本
※「TPcare」はWindowsでオフコン資産(TP90)を継続利用するフレームワーク。
画面はTPcare独自(Java Applet)、データベースはOracleなど、オーブン系の技術で構築されている。

 

システム的には特に不満を感じていなかったものの、2017年、TPcareのサービス終了が発表されてしまいました。システム移行が不可避な状況となり、第6次全社オンラインシステムをどのように構築するか考えなくてはならなくなりました。

 

 

画面と入力操作の再現力を
評価してMMS/ AJTOOLを活用したソリューションを採用

このとき、オープン環境で新たにスクラッチ開発することも考えたといいます。しかし、現実的ではありませんでした。40年近く蓄積してきたソフトウェア資産をなくすわけにはいかない、という思いがありました。懸念したのはコスト面というよりも、業務の流れだったと、株式会社 北陸電機商会 情報システム部 部長 徳本 兼次氏は語ります。

「自社開発で作ってきたCOBOL資産は、業務体系の流れに沿ったシステムになっています。それを、スクラッチにしろ、パッケージにしろ、業務を組み替えてしまうとシステムを利用する現場が混乱します。それは最大限避けたいと考えました。そのため、他のもので開発し直すよりも、他のCOBOLに移行させた方がすんなりいくだろうと判断しました」

また、TPcareのサービス終了が2022年と通告されていました。品質の高い基幹業務システムを再度構築するのに十分な時間があるとは思えませんでした。

メーカーから後継策として、2つのソリューションが提示されました。その1つが東京システムハウス(以下、TSH)の豊富なマイグレーションノウハウとマイグレーション用ツールAJTOOLを活用してMicro Focus Visual COBOLへ移行するソリューションです。TSHは早い段階から移行後のサンプルイメージを提示しました。この段階から徳本氏はすでにTSHに好感触を抱いたといいます。

「ポイントは画面と入力操作の再現力です。当社ではシステム内で多くの画面を使用しており、その扱いがどうなるか気にしたのですが、TSHのソリューションは、複雑な画面もそのまま再現できました。また、入力操作についても、当社では個別システムごとに、この時はこのファンクションキーといった具合に、矢印キーも含めて操作の決まりがありました。その操作性が業務効率向上のカギであったため、移行においてもその継承を望みました。これを柔軟にかなえられるのもTSH案でした」(徳本氏)

ここで、TSHはさらに移行後の機能面を詳細に検証するPoCを提案して、実施します。2020年8月のことでした。3本のプログラムで実施され、TSH側で、検証用に構築したサーバーへの資産移行や動作検証、それに対する報告を行い、情報システム部ではTSHからの業務に関する質問に回答するとともに、動作確認を行いました。このPoCプロセスで、期待は確信へと変わりました。徳本氏はこう語ります。

「自動変換ツールによる変換は、ロジックの流れ自体に変わりありませんでした。さすがに複雑な画面は少し手修正が必要でしたが、変換率は80%に達しており、移行の目途を立てることができました」

加えて、画面と業務ロジックを変えずに移行できる点も決断を後押ししたようです。オフコン型COBOLのオンライン処理は、業務処理と画面のI/Oが連動しています。オープン系のWebシステムに移行する場合、再構築が必要になるため、不具合が混入しやすくなるというリスクがあります。しかし、AJTOOL Online Frameworkを活用することにより、COBOL資産をそのまま活用でき、TPcareで開発していた画面系のパラメータをそっくり生かすことができました。

 

 

後方支援に徹し、正確かつ高度な技術サービスを提供

本マイグレーションがスタートしたのは、2022年の3月でした。今回、同社は 5名の情報システム部員でプロジェクトを主導することを希望しました。本番稼働後、基幹業務システムの運用保守を担うのは情報システム部だからです。移行プロジェクトを経験する中で、新しい環境について習熟していく必要がありました。そのため、TSHは移行方式の設計・ツール開発・変換・技術サポートで支援。情報システム部側で、事前の資産整理や調査分析、プログラム変換後の手修正を行うとともに、単体テスト、照合テスト、総合テストを実施しました。

まさにコロナ禍まっただなかのプロジェクトで、情報システム部とTSHとの間の課題共有とその解決は、終始オンライン会議ツールやTSH所有のプロジェクト管理ツールを通じて行われました。これにより、意思疎通に問題はありませんでした。

「TSHは、一つ一つの作業が正確でした。何か要望すると、その後はこちらのイメージどおりに仕上がってきました。よくリクエストしたのは、メニュー関連ですね。メニューの起動する部分や起動してからのジョブ管理の部分、こういう風に実現してほしいとお願いしたら、後々こちらできちんと自社運用できるようにしてくれました。パワーユーザーの多い当社としては非常に助かりました」

 

 

パフォーマンスが大幅向上、周辺システムとの連携性・柔軟性もアップ

2022年7月、第6次「HOTシステム」は無事に本番移行を果たしました。プロジェクトの最終盤、情報システム部で品質の作りこみに注力したため、ほとんどトラブルなくすぐさま安定稼働に入りました。新システムの環境は図2のとおりです。

図2 TSHのソリューションで実現したマイグレーション環境

 

移行を完了して10カ月、同社は大きな効果を享受しています。その1つは、システムパフォーマンスが大幅に向上したことです。今まで10分程度の処理が1分以内になりました。Micro Focus Visual COBOLへ移行しファイル構造が変わったことによるものと思われ、エンドユーザーからも「速くなった」との声が届いているそうです。

もう1つは、周辺システムとの連携性、柔軟性が高まったことです。TPcare時代は、帳票や運用管理に関してもその中で完結していました。しかし現在は、帳票基盤はウイングアーク1stのSVF/RDE、ジョブ管理には野村総合研究所のSenjuを導入。これにより、他のシステムでもこうしたシステムを活用できるようになっています。

今後、同社はシステムに関して、制度改正に都度対応していくとともに、システムの利便性を向上する改善を行っていく予定です。直近では文字コードの自動変換を構想中とのこと。こちらについても、TSHと密にコミュニケーションを取りつつ実現していきたいと徳本氏は語っていました。

 

 

株式会社 北陸電機商会

本  社:富山県富山市
資 本 金:600百万円
従業員数:248名
事業内容:電気機器ならびに電気器具の販売、電気材料の販売、電気設備工事の設計施行および機器・器具類の販売、コンピュータソフトウェアの設計、プログラムの販売、技術提供、保守業務ならびにコンピュータシステムによる入力およびこれに伴う事務処理の受託業務
https://www.hokudensho.co.jp/
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