ダイナックパートナーズ

業務効率化を図りながら、昨対比で客単価130円アップを実現。
ゴルフ場レストランにおけるDX化の秘訣とは。

 


 

株式会社ダイナックパートナーズ様
株式会社ダイナックパートナーズ様は、ゴルフクラブレストランの受託運営や道の駅・サービスエリアの施設運営を行う食のアウトソーシング専門企業です。サントリーグループの飲食部門を担う同社は、高品質な商品・上質なサービスを日本全国に提供しています。1961年のゴルフ場レストラン受託を皮切りに関東・関西を中心に全国約90箇所のゴルフ場レストランを運営しています。現在、業務の効率化を目的に同社が受託運営するゴルフ場にて「レストランマルチオーダーシステム」を導入いただいています。サービスを導入された背景や活用方法、効果などをダイナックパートナーズ様における導入1号店となる「三重フェニックスゴルフコース レストラン」店長 鈴木氏に伺いました。

 

・株式会社ダイナックパートナーズ:https://www.dynac.co.jp/group/dynacpartners/
・三重フェニックスゴルフコース:https://cocopa.co.jp/golf/#section03
(取材:2023年7月)
・人手不足
・業務効率化
・ヒューマンエラーの減少

三重フェニックスゴルフコース レストランの特長・魅力について教えていただけますか。

当コースは、ココパリゾート系列のヤシの木が茂るカジュアルなリゾートコースです。アクセスは三重県松阪市の一志嬉野インターから車で直ぐ、名古屋から50分・大阪から70分と恵まれた立地です。系列の宿泊施設(ホテルシャトー、ホテルアザリア、ヴィラココパ)も完備しており、ご宿泊いただき近隣の系列3場をゆっくりお楽しみいただけます。抜けるような青空と緑豊かなフェアウェイの間にヤシの木が茂り、クラブハウスではハワイアンミュージックがお客様をお迎えします。

 


(レストランからはコースを一望できる)

 

レストランでは、お二人でゆったり景色を観ながらお寛ぎいただけるペアシートが10席、大人数でご歓談いただけるデラックスシートが8席、4名様でご利用いただけるテーブルを6席ご用意しています。席と席の間隔を広く設け、リゾートクラブの雰囲気をお愉しみいただける環境も大きな魅力です。また、クラブハウスの2階からコースを一望できるレストランのパノラマ眺望は、国内のゴルフコースレストランでトップクラスの景観と人気です。メニューは、リゾートの雰囲気にマッチしたジャワ風ヒレカツカレーや、中華の達人による名物料理“青椒チャーハン”が人気メニューです。

 


(人気メニューであることが一目でわかる表示画面)

 

ダイナックスパートナーズは、基本的にメニュー構成の権限を各レストランが持っています。三重フェニックスゴルフコースレストランは、一般のレストランと比べ、高火力の設備が整っているため、火力を生かした料理として中華に特化したメニューを多く提供しています。

 

また、2022年8月よりゴルフ場レストランとしては国内で初めて配膳ロボSoftbank社製KeenbotT5を導入するなど、DX化に先進した取り組みに力を入れています。

レストランマルチオーダーシステムを導入したきっかけや経緯を教えていただけますか。

人員不足に悩む店舗が多く、求人を毎週出してもヒットしない、採用にかかる費用が高額という点が社内の課題となっていたことが導入理由のひとつです。シフトが埋まらないから現場の社員が無理をするというケースも少なくないため、人が定着しづらいという労働環境の悪循環が起きていました。また、新型コロナウイルスの流行により、飲食業を取り巻く経営環境は更に厳しくなりました。

 

そんな状況もあり、社内でレストランマルチオーダーシステムを含めたDX(デジタル・トランスフォーメーション)化店舗の構想を描くようになりました。ITを現場業務に積極的に導入することで、職場の人員不足を補いつつ経費を削減していくという取り組みです。2022年に社内コンペが実施され、最終的に残ったパートナー会社3社から費用面や機能、企業対応等を総合して東京システムハウスを選びました。2023年11月ダイナックパートナーズ初の導入店舗として、三重フェニックスゴルフコースレストランに導入。2023年7月現在、導入店舗は7場に展開し、今後も導入店舗を増やしていく予定です。

レストランマルチオーダーシステムをどのように活用されているか教えていただけますか。

三重フェニックスゴルフコースレストランでは、お客様が操作するテーブルオーダーと、スタッフが操作するスタッフオーダーを導入しています。お客様からのオーダーについては、ほぼテーブルオーダーで注文いただいています。使い分けとしては、ボトルキープや注文の変更・取り消しなどは、スタッフオーダーでのみ使用できるようにしています。

 

導入前は「従業員やお客様に受け入れて貰えるか」と不安もありましたが、視覚的に操作ができる簡単な画面操作が解りやすく予想よりスムーズに展開できたと思います。

 

今はまだゴルフ場レストランにおけるセルフオーダーは、新しい取り組みですが、2~3年後には業界全体を見ても主流なビジネススタイルになると確信しています。業界の先駆者として取り組んでいきたいです。

運用にあたって工夫していることはございますか。

テーブルオーダー導入後も全テーブルに紙のメニューブックを残し、併用して運用しています。ゴルフ場レストランの場合、4名様でご利用いただくことが多いため、同じパーティー内で代表の方がテーブルオーダーで入力するとしても、他の方はメニューブックを見ながらリクエストがあげられるようにしています。

 

また、タブレットの場合、どうしてもトップに表示できる商品数に限りがあります。そのため、メニューブックを見開きタイプにしたり、テーブルPOPを充実させたりすることでお客様が席に座られた際、すぐに比較検討できる仕組みづくりを戦略的に実施しています。アナログな方法にはなりますが、テーブルオーダーと併用することでオーダーの効率化が図れています。

 


(セットメニューをわかりやすく表示した注文画面)

 

これは私個人の考えですが「考える前に行動を起こす」ということが大事だと思っています。1号店の店長を任せていただいた以上、結果を出さないと水平展開もできません。今後も商品の訴求につながるような運用を考えていきます。

サービスを導入される前の課題について教えていただけますか。

ゴルフ場での導入実例があまり無く、ゴルフクラブのオーナー様や支配人様にご理解をいただくことから取り組みました。社内で実例がなかったため、すべてが手探りの状態でした。ひとつひとつ実務が円滑に進められるのか検証を繰り返しながら、不具合があればその都度東京システムハウスと共にシステムの改良を進めました。担当の方には、軽微なものから大きな不具合まですぐに対応していただき、とても感謝しています。 従業員達は上手くシステムに馴染めるか不安がっていましたが、全員スマートフォンやタブレットを日常で使っていたので比較的操作についても馴染みやすかったと思います。

 

お客様からは当初「操作が面倒くさい」という意見も聞かれましたが、導入から半年が経過した現在ではほぼ全てのお客様がタブレットでのセルフオーダーをご利用いただいています。

サービス導入を決めた理由・ポイントを教えていただけますか。

比較検討するにあたり、管理・運用のしやすさを重視していました。東京システムハウスのマルチオーダーシステムに決めた理由は、「クラウドで管理ができる」「どの基幹システムでも利用できる」という点が決め手となりました。

 

三重フェニックスゴルフコースレストランの場合、年に4回レストランメニューを変更しています。管理画面を操作すればタブレットの表示画面をすぐに変更できるため、メニュー変更時やおすすめ商品を変更したい際、簡単に作業ができるのはとても助かっています。

 

また、私個人としてはダイナックパートナーズ内の水平展開プロジェクトに参加をしています。マルチオーダーシステム導入予定のクラブ様や店長と打ち合わせを重ねながら、各レストランに最適なシステム運用となる様に東京システムハウスと二人三脚で連携しながら、導入までの画面構築や導入後のサポートを行っています。他の店舗をサポートする際、導入店舗に行かなくても遠隔で修正や変更ができる点は嬉しいポイントです。

 

そして何よりクラブ様によって導入している基幹システムが異なるため、基幹システムに依存しない点は大きな魅力です。どのクラブ様でも公平に導入できるシステムであるということはとても重視していました。

導入後の効果・感想を教えていただけますか。

導入前は紙の伝票で注文から会計のやり取りを行っていましたが、レストランマルチオーダーシステムを導入した事でお客様の注文がリアルタイムで調理場や会計システムと連動するようになり、今までそれらの業務に掛かっていた時間が大幅に短縮できました。特に早朝プレーやスループレーのお客様の伝票は、直ぐに伝票入力をしなければ会計が間に合わないため、細心の注意を払っていました。今は、正確な会計情報が瞬時にフロント清算に回るため、入力漏れや誤入力と言った人為的なトラブルも大幅に減少しています。

 

また、昼食客単価が前年比130円アップしている点も注目しています。テーブルオーダーの導入で客単価が下がることも想定されましたが、デジタルとアナログそれぞれの良さを組み合わせることで導入後も客単価は上がり続けています。当レストランは、1日に約200名のご利用があるため、全体の効果としてとても大きいです。

 

その他にも業務が効率化されたことで、時間を有効活用できるようになりました。多くの店舗でベテランの従業員が売上入力をしていましたが、オペレーション能力の高い従業員がそこに張り付いてしまうと店舗としての営業力が下がってしまいます。導入後はこれらの業務がシステム化されたため、売上向上を図るための企画や商品開発の時間を確保できるようになりました。

今後どのような活用計画をお考えですか。

ダイナックパートナーズが受託運営しているゴルフ場レストランへの水平展開を進めるとともに、レストランマルチオーダーシステムのコース茶店での運用に向けて準備を進めています。茶店の売上伝票については、レストランとFAXやメッセージアプリでやりとりしているゴルフ場がほとんどで大変な労力と時間が必要です。ゴルフ場レストラン全体における業務効率化を更に進めていきたいです。

 

今年1月時点で国内のゴルフ場は2132場。その内テーブルオーダーシステムを導入しているゴルフ場は、まだ数パーセントと言われています。業界の中での導入シェアを高める事でダイナックパートナーズのブランド力を高め、収益化を進めていきます。

 

―本日はお忙しい中、貴重なお話をありがとうございました。